米上院公聴会でファウチ氏が証言拒否、妨害した弁護人が退場処分に

米議会上院国土安全保障・政府問題委員会の公聴会で、アンソニー・ファウチ元国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長が証言を拒否し、波紋が広がっている。2026年7月29日に行われた公聴会において、ファウチ氏は憲法修正第5条が定める黙秘権を行使し、議員からの質問に一切回答しなかった。委員会の進行を巡り冒頭から緊張が高まるなか、公聴会は混乱した雰囲気に包まれた。
委員長を務める共和党のランド・ポール上院議員による質疑が始まると、ファウチ氏は即座に黙秘権を主張した。これに対し委員会側は、感染症対策やパンデミックの背景を巡る調査において同氏の証言が不可欠であると強調していたが、質疑応答は平行線をたどった。証言台に立ったファウチ氏が終始回答を拒絶したことにより、審議は冒頭から大きな停滞を余儀なくされた。
公聴会の途中で事態はさらに混乱を極めた。ファウチ氏の隣に着席していた弁護人のディビッド・シャートラー氏が、委員会の許可を得ずに突然発言を試みたためである。議事進行を妨害する形となったシャートラー氏に対し、ポール委員長は発言権が与えられていないことを即座に指摘し、ルールを守って静粛にしなければ退場させると強い語調で警告を発した。
ポール委員長は、弁護人は証言台ではなく後方の座席に着席するよう事前に指示されていたにもかかわらず、その指示に従っていないと厳しく批判した。さらに「法廷で同様の行為に及べば裁判長により収監される」と述べ、議会の手続を尊重するよう求めた。しかし同弁護士が発言を止めなかったため、警備員に対して公聴会室から退場させるよう指示を出した。
警備員によって弁護人が公聴会室から退出させられる際、傍聴席の一部からは拍手が湧き起こるなど、会場内は一時騒然となった。ポール委員長は議事録への記録として、ファウチ氏には他に約6人の弁護団が同席しており、弁護人が退場させられた後も必要な法的助言を受ける権利は確保されていると説明し、委員会の対応に問題はないとの認識を示した。
一方、民主党筆頭メンバーのゲイリー・ピーターズ上院議員は、弁護人の言い分にも耳を傾けるべきだと発言し、退場措置に苦言を呈した。これに対してポール委員長は、公聴会はファウチ氏本人の証言を聞くための場であり、弁護団との議論を行うゲームではないと反論した。委員会内では議事進行や弁護士の発言権を巡り、与野党の意見が真っ向から対立した。
議会共和党は、ファウチ氏がジョー・バイデン前大統領から事前の包括的な恩赦を受けていたとしても、議会での証言拒否や不誠実な答弁が保護されるわけではないと主張している。ポール委員長は、恩赦を得ている状況下では自己負罪を理由とした黙秘権の行使は不適当であると指摘し、同氏による証言拒否は法的に認められないとの考えを示した。
ポール委員長は最終的に、ファウチ氏が正当な理由なく議会での証言を拒否したとして、同氏を議会侮辱罪で問う決議案について来週委員会で採決を行う方針を明らかにした。政府高官の過失やパンデミック対応の検証を巡り批判が高まるなか、来週予定されている採決の行方や、ファウチ氏に対する更なる追及の展開に大きな関心が寄せられている。












