韓国基礎年金制度の「歴史的転換」:12年ぶりの抜本改革とその背景

韓国政府は、2014年の導入以来、12年間にわたり維持されてきた基礎年金の支給基準を根本から見直す準備を進めています。今回の改革は、単なる数値の調整ではなく、福祉制度の根幹を揺るがす大きな転換点となります。
1. なぜ今、制度を変える必要があるのか?
現行の制度は「65歳以上の高齢者のうち、所得下位70%」を対象とする相対評価方式を採用しています。しかし、この方式には構造的な欠陥が生じていました。
対象範囲の不整合: 高齢者全体の経済状況が向上したことで、かつて「下位70%」に含まれていた層と、現在の「下位70%」に含まれる層の経済的困窮度に乖離が生じています。
境界線のシフト: 国家統計によると、2015年には「基準中位所得」の約60%以下が受給対象でしたが、2026年には約96%にまで上昇しました。つまり、本来支援が必要な貧困層以外の高齢者まで受給対象となっており、本来の趣旨である「貧困高齢者への集中支援」という目的が形骸化しているのです。
2. 新たな基準:「基準中位所得」とは何か
政府が導入を検討しているのが、統計上の「中位所得」とは異なる、政策的な指標である「基準中位所得」です。
絶対評価への移行: 毎年の生活物価や世帯所得の変動を考慮して設定されるこの数値を基準にすることで、受給対象を「所得〇〇円以下」といった絶対的な数値で画一化しようとしています。
「下位層への重点配分」: 所得の高い高齢者を切り離し、真に生活が苦しい層に対してより手厚い保護を行うことで、福祉資源の効率的な分配を目指す方針です。
3. 改革の論点と今後のシナリオ
今回の業務報告において、保健福祉部と政府側から以下のような方針が示されています。
既得権益の尊重: すでに基礎年金を受給している高齢者については、生活の安定を考慮し、減額措置は行わない見通しです。
導入スケジュール: 政府は2027年度の予算案にこの改編内容を盛り込み、来年からの本格的な実施を目指しています。
社会的反響: ネット上や世論では、「全高齢者への支給を公平に行うべき」「不正受給の取り締まりを強化すべき」といった声や、公務員年金との兼ね合いによる不公平感など、様々な議論が巻き起こっています。 このように、今回の改革は「限られた予算を誰に優先的に回すか」という、高齢化が進む韓国社会が直面する非常に重要な問いを投げかけています。










