松ヤニから高性能黒鉛の生成に成功 産総研、中国依存の代替技術に期待

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国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)は、松ヤニを原料として黒鉛(グラファイト)を製造できる技術を実験で実証したと発表した。黒鉛は電気自動車(EV)のリチウムイオン電池や半導体などに不可欠な素材であり、現在は輸入の大部分を中国に頼っていることから、国産資源を活用した新たな供給手段として期待が高まっている。

研究成果は今月、国際的な科学誌**「Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)」**に掲載された。

黒鉛は軽量で耐久性や導電性に優れ、EV用電池の負極材をはじめ、電子機器や先端産業で幅広く利用されている。しかし、日本は天然黒鉛・人造黒鉛ともに約9割を中国からの輸入に依存しており、中国による輸出管理強化の影響で供給リスクが課題となっている。

一般的な人造黒鉛は石油や石炭を原料として製造される。一方、木炭など植物由来の素材から黒鉛を作る研究も行われてきたが、炭素の結晶構造が乱れやすく、高品質な黒鉛を安定して得ることは難しいとされていた。

そこで研究チームは、松ヤニに多く含まれる**「アビエチン酸」**という分子に着目。この成分が持つ規則的な炭素構造を利用し、酸素を除去する工程などを経て、黒鉛へ変化する前段階の物質を生成することに成功した。

実験では、100グラムの松ヤニから約8グラムの黒鉛を製造することができた。また、この黒鉛をリチウムイオン電池の材料として使用したところ、実際に充電・放電が可能であることも確認され、電池材料として利用できる可能性が示された。

現時点では大量生産時のコストや性能向上など、実用化に向けた課題は残されているものの、研究チームは黒鉛以外にも炭素繊維など高機能材料への応用が期待できるとしている。

研究チームは、「異なる分野の研究者が連携したことで新しい成果につながった。今後も実用化に向けて研究を進めていきたい」とコメントしており、中国依存からの脱却を目指す日本の素材開発において、今回の成果は大きな一歩となりそうだ。